正月から時代劇について考えてみた

今、NHKの時代劇を見てるんですが、
つくづくと思うのは時代劇は、
今や、特別の訓練が必要な演劇となってしまったんだなぁってこと。

出てる役者さんが、
時代劇をやるにふさわしい訓練が全くと言っていいほどできてないんです。
時代設定が江戸時代で、
その当時の衣装とかつらをつけてるだけで、
身体の使い方はジーパン履いてTシャツ着て
街をブラブラ歩いている時の身体の使い方です。
そして、やってるのは現代劇。
セリフの芝居、西洋演劇なんです。

もっとも今の演出家や監督ですら
今私が書いている意味がわからないでしょうね。

二十年ほど前に
NHKで司馬遼太郎の「世に棲む日々」を見たんですが、
高杉晋作が野村萬斎、吉田松陰が中村橋之助(現芝翫)
中世の演劇と近世の演劇です。
水と油ほどに違う演劇。
どうなるんだろうなぁと思ってハラハラしながら見ました。
違和感を覚えつつも
二人の名優の力でなんとか面白く見ることができました。
まぁ、面白い実験でした。

また、
夢枕獏さんの陰陽師を映画ではなくテレビでやってたんですが、
安倍晴明役が市川染五郎(現幸四郎)。
市川染五郎さんが下手だというのではありません。
この中世の時代を描くのに
商品経済が大変発達した時代に、
しかも江戸の大都市圏の豪商たちが作り上げた芝居の訓練を
幼い頃から徹底的に受けた役者がやるというのは
大変おかしなことです。
彼らが体にまとっている近世の雰囲気(浮世)は
中世の憂き世とは全く相容れないものです。

憂き世と浮世

先の吉田松陰役の中村橋之助さんは
江戸時代で一見して問題はなさそうですが、
歌舞伎は江戸・大阪・京都に住む
経済大爆発の立役者、豪商によって作られた演劇ですから
無骨な田舎武士を演じるというのは大変無理があるのです。
特に中村橋之助さんは、
あの当時の洗練された粋な豪商の雰囲気を現代に伝える
大変貴重な役者さんです。

つまり何を言いたいかというと、
監督さんなど製作者側が
日本人としての基本的な教養が全く書けているということです。
乱暴にも、
日本の古典演劇を中世、近世の特徴など関係なく
百羽一絡げにしてるんです。

しかし、困ったものです。
これでは昔の日本の美意識を伝える時代劇が失われてしまう。
それでなくても文部省が!何故か!
流行だってあるだろうに!
アメリカの貧困層のダンスを授業として取り入れて、
日本人の体の使い方がまったく変わろうとしているのです。

私は時代劇を演じるために特別な必要な訓練受けた俳優さんを
国家試験を受けさせて、
合格した人に特別な地位を与えるべきだと思うのです。
準古典演劇者の資格です。
そして、この資格を持った俳優さんが出演する芝居、ドラマには
一人当たり10万円から100万円ぐらい国から補助金を出すのです。
古典演劇の人ほどではないにせよ
個人にも補助金を出すべきです。


最近時代劇では安っぽいリアルが大流行ですが、
私のように大学で歴史を勉強した人間は100万といるのです。
そしてそれぞれにテーマを決めて卒業のための論文を書いている。
それぞれにこだわりがあるのです。
私は時代劇を見るたびに意地悪く
「あんたたちの安っぽいリアルの百倍、千倍、
江戸時代のリアルを言ってやろうか!
ここはこうや。あそこはこうや。この時代にこれはないわねぇ」
ってつぶやいています。

あなた方が安っぽいリアルさえ言わなければ
私も安心して時代劇が観れたのです。
昔のように。


誰もが安心して時代劇を見れるようにするには
今までの時代劇のように「約束事」を決め直すことです。
今の私たちに合うように。
そして歌舞伎の「時代物」「世話物」のように
「時代物(時代劇)」では人間の普遍的なものを描き、
「世話物(現代劇)」では現代を生きる人々の生の生活を描く、
と言った風に分けるのがいいのではないかと最近は考えるのです。





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